この品種は、「翠星」と「新興」の交雑実生で、果実は関東地方中部において、9月下旬~10月上旬に成熟する日本なしである。樹姿はやや開張性、樹の大きさは中、樹勢は若木時はやや強く、成木時には中程度となる。枝しょうは太く、発生密度は中である。成葉は楕円形でやや小形で幅が広い。短果枝の着生は中、えき花芽の着生はやや少ない。花弁は小型で卵形、花弁5枚以上のものが混在し、花粉は「長十郎」よりやや少ない。開花期は早く、「新高」とほぼ同時期、「豊水」より2~3日、「幸水」より5日位早い。「新興」とは交配不親和であるが、その他の主要品種とは親和性がある。果実は円楕円形で、蒂端部がやや細く、りんごのデリシャス型に似た果形が混在する。果実の大きさは1果平均約350g、「新高」「新興」「豊水」よりも小さい。果皮の色は赤褐色で、果点は密に分布する。果肉は黄白色で、肉質は軟かく、「豊水」と「新興」の中間位で、ち密である。果汁は多く、甘味は多く、糖度12度内外で「豊水」と同程度、「新高」より多少高い。酸味はPH4.9程度で「豊水」より少ない。成熟期は育成地(茨城県筑波郡谷田部町)において9月下旬で、「新高」より10日、「新興」より20日位早く、「豊水」より10日位遅い。芯腐れ、みつ症状、裂果はほとんどみられない。日持ちは2週間程度である。黒斑病抵抗性は強い。「新高」及び「新興」と比較して、成熟期が早いこと、果実が小さいこと、果肉がち密で軟かいこと等で、「翠星」と比較して、果皮色が異なること等で、「豊水」と比較して、成熟期が遅いこと等で区別性が認められる。 |