この品種は「富有」に「ⅡiG-16」を交配し得られた交雑実生から選抜・育成されたものであり,果実の大きさが400g程度,果形がやや扁円,果皮が銅橙色,育成地(広島県豊田郡安芸津町)で11月上旬に成熟する中生の完全甘柿である。 樹姿は中間,樹の大きさ及び樹勢は中,発育枝の長さは長,枝梢の太さは太,枝梢の色は赤褐,葉の大きさは中である。雌花の大きさはやや大,雄花の大きさはやや小,完全花の大きさは中である。果実の形はやや扁円,縦断面の形は扁円,果頂部の形は浅凹,微尖は全果,横断面の形は方円,果実の斜線溝は明瞭で中,側溝は無,蒂部の皺は無,果皮の亀甲紋はやや明瞭,大きさと密度は小密,果粉の多少は多,蒂窪平面の形は正円形,側面の形は凹平である。果心の形は長三角,果実の大きさは極大(400g程度),果皮の色は銅橙,光沢は中,果実の座の有無は無,条紋の発生程度は多,蒂の全形は基太肩平幅広,大きさは中,果実に対する姿勢は平行である。果肉の色は黄橙,褐斑の大きさは小,密度はかなり粗,分布は果肉全体,肉質はやや密,甘味は中(糖度17度程度)である。種子数は1~2,種子の形は長三角,大きさはやや大,雌花及び雄花の開花期は中,落葉期は早,結果の多少は中,隔年結果性は小,成熟期は中,育成地においては11月上旬である。花性は雌花雄花完全花,甘渋性は完全甘,生理落果の多少及び果頂裂果性は少,蒂隙性は多である。 「富有」及び「松本早生富有」と比較して,果頂部の形が浅凹であること,果実横断面の形が方円であること,果実が大きいこと,種子数が少ないこと,花性が雌花雄花完全花であること等で,「陽豊」と比較して,果頂部の形が浅凹であること,果実が大きいこと,蒂の果実に対する姿勢が平行であること,花性が雌花雄花完全花であること等で,「御所」と比較して,果実の斜線溝が明瞭で長いこと,蔕部の皺が無いこと,結果が多いこと等で区別性が認められる。 |