この品種は,「大浦早生」に「パーソンブラウン」を交配し得られた種子から珠心胚を分離,培養した実生から選抜・育成されたものであり,果実が円,中果,果皮色が黄橙色で,育成地(熊本県下益城郡松橋町)において9月下旬から収穫できる極早生品種である。 樹姿は中間,樹の大きさは大,樹勢はやや強,枝梢の太さ及び節間長は中である。葉形指数,葉身の面積,長さ,幅,葉柄の長さ及び葉柄比率は中である。果実の外観は円,果形指数は~135,果頂部水平域の果実横径に対する比は大,果頂部凹部の深さは浅,花柱痕の大きさ及び果梗部水平域の果実横径に対する比は大,果梗部放射条溝果の多少は少,中心柱の大きさ及び果実の大きさは中である。果皮の色は黄橙,油胞の大きさは中,果面の平滑度はやや滑,油胞の密度は密,凹凸は平,凹点の多少は無~少,果皮の厚さは中,剥皮の難易は易である。じょうのう膜の硬さは軟,砂じょうの色は橙,果汁の多少は多,甘味は中,酸味及び香気は少である。成熟期は極早,育成地においては9月下旬~10月上旬である。隔年結果性は低,浮皮果の発生及び裂果の多少はでにくい,貯蔵性は小である。 「大浦早生」と比較して,樹勢が強いこと,中心柱の大きさが小さいこと,油胞の密度が密であること,酸味が少ないこと等で,「山川早生」と比較して,樹勢が強いこと,油胞の密度が密であること,酸味が少ないこと等で,「宮本早生」と比較して,樹勢が強いこと,葉身の面積が大きいこと,花柱痕の大きさが大きいこと等で,「白浜1号」と比較して,樹勢が強いこと,果梗部放射条溝果が少ないこと,中心柱の大きさが小さいこと等で区別性が認められる。 |