この品種は、「興津20号」と「興津1号」との交雑実生であり、果実の大きさが240g程度、果形が腰高の扁円形で甘味が多く、育成地(広島県豊田郡安芸津町)の露地で10月中下旬に成熟するやや早生でハウス栽培向けの完全甘柿である。樹姿は中間、樹勢は中、発育枝の長さは短、枝梢の太さはやや太、色は黄褐、葉の大きさは小である。雌花の大きさは中、雄花及び完全花は無である。果実の形はやや扁円、縦断面の形は扁円、果頂部の形は平、横断面の形は円、果実の斜線溝、側溝及び蒂部の皺は無、果皮の亀甲紋の不明瞭、果粉の多少は少、蒂窪平面の形は正円形、側面の形は凹Uである。果心の形は中央細、果実の大きさは大(240g程度)、果皮の色は黄橙、果実の座は無、条紋の発生程度は少、蒂の全形は基太肩平幅広、大きさはやや小、果実に対する姿勢は斜向である。果肉の色は橙、褐斑は無、肉質は密、甘味は多(糖度17~18度程度)である。種子数は3~4、結果の多少は多、隔年結果性は小、成熟期はやや早、育成地において「伊豆」より1週間程度遅く「松本早生富度有」より2週間程度早く10月中下旬である。甘渋性は完全甘、生理落果の多少は少、果頂裂果性はかなり少、蒂隙性は少である。「伊豆」と比較して、果実の大きさが大きいこと、果皮の色が黄橙であること、甘味が多いこと、結果が多いこと等で、「松本早生富有」と比較して、果実の斜線溝が無であること、果粉が少ないこと、果皮の色が黄橙であること、褐斑が無いこと、甘味が多いこと等で区別性が認められる。 |