この品種は、「モロ」に「太田ポンカン」の珠心胚実生を接ぎ木した接合部から発生した周縁キメラから育成されたものであり、果形が扁球、果実の重さがやや重、果皮色が濃橙及び橙赤の育成地(愛媛県松山市)では12月下旬に成熟するかんきつである。
樹姿は直立、樹の大きさは中、樹勢は強である。枝梢の太さは細、節間長は短、枝梢のとげの多少は少である。葉身の形は紡錘形、波状の程度、大きさ及び葉身長は中、葉身幅は狭、網脈の鮮明度はやや明瞭である。翼葉の形は痕跡、葉柄の長さは短、太さは細である。花序の形成は単生、花(花蕾)の重さは軽、花弁の形は紡錘形、長さは短、幅は中、色は白、数は5枚、花糸の分離の程度は分離、花粉の多少は中である。果実の形は扁球、果頂部の形は陥没、放射条溝の有無は有、凹環の有無は無、果梗部の形はやや凹、放射条溝の多少は多である。果心の充実度は空、大きさは極大、果実の重さはやや重、果皮の色は濃橙及び橙赤、油胞の大きさは小、密度はやや密、凹凸は凸、果面の粗滑及び果皮の厚さは中、果皮歩合は大、剥皮の難易は易である。じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、大きさはやや大、色は赤紫である。果汁の多少、甘味及び酸味は中、香気の多少は多、種子数は無である。発芽期及び開花期はやや晩、成熟期は早で育成地においては12月下旬である。隔年結果性は中、浮皮果の発生は多、裂果の発生は少である。 「太田ポンカン」と比較して、果皮の色が濃橙及び橙赤であること、さじょうの色が赤紫であること等で、「モロ」と比較して、果実の形が扁球であること、剥皮が易であること等で区別性が認められる。 |