この品種は、「刀根早生」の枝変わりであり、果形が扁円、大きさがやや大、果皮色が黄橙の育成地(和歌山県那賀郡粉河町)では9月中旬に成熟する不完全渋である。樹姿は中間、樹勢は強である。発育枝の長さは極長、節間長は長、枝梢の太さは太、色は黄褐である。葉身の形はやや長楕円、上部の形は広、基部の形はかなり鈍、横断面の形は内巻小、着生角度は横向き、葉の大きさはやや大、葉柄の長さは短、太さは中である。果実の形は扁円、縦断面の形は方形、果頂部の形はわずかに凹、微突は無、果実横断面の形は方形、斜線溝は明瞭で中、側溝、蒂部の皺及び果皮の亀甲紋は無、果粉の多少は多、蒂窪平面の形は正方形、側面の形は凹U、果梗の長さはやや長、太さはやや細、果心の形は短方形、太さは細、果実の大きさはやや大、果皮の色は黄橙、光沢は良、果実の座の有無及び条紋の発生程度は無である。蒂の全形は基太肩平幅広、長短はかなり細長、大きさは中、先端の形は太尖、果実に対する姿勢は斜向である。果肉の色は黄、褐斑の大きさは無、果肉の粗密は密、甘味はやや少、子室数は8、種子数は無である。発芽期及び雌花の開花期は早、成熟期はかなり早で育成地においては9月中旬、花性は雌花のみ、甘渋性は不完全渋、脱渋の難易はやや易、果頂裂果性及び蒂隙性は無である。「刀根早生」と比較して、葉柄が短いこと、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。 |