この品種は,「今田早生温州」に「八朔」を交配して得られた種子の珠心胚を分離,培養した実生から選抜・育成されたものであり,果実の外観が扁円,果重が90~100g程度の,育成地(大分県東国東郡国東町)において 9月中旬から収穫できる極早生温州である。 樹姿は開張性,樹の大きさはやや大,樹勢は中である。枝梢の太さは中,節間長は中,とげの多少は有である。葉身先端の角度及び基部の角度は鋭,波状の程度は少,長さ及び幅は中,網脈の鮮明度はやや明瞭,翼葉の形は線形,大きさは小,葉柄の長さは中,葉柄比率は小である。果実の外観は扁円,果形指数は136~141,果頂部水平域の果実横径に対する比は中,果頂部凹部の深さは浅,花柱痕の大きさは中,果梗部水平域の果実横径に対する比は小,果梗部放射条溝果の多少は少,中心柱の大きさは小,果実の大きさはやや小,果皮の色は橙,果面の平滑度は粗,油胞の凹凸はやや凸,凹点の多少は無~少,果皮の厚さは薄,剥皮の難易は易である。じょうのう膜の硬さは軟,砂じょうの形は紡錘,色は橙,大きさは大である。果汁の多少はやや多,甘味は多,酸味は少,香気は中,種子数はできにくいである。成熟期は極早で育成地において10月中旬である。隔年結果性は低,浮皮果の発生及び裂果の多少はでやすいである。 「今田早生温州」と比較して,葉柄比率が小さいこと,果実の凹点の多少が少ないこと,成熟期が早いこと等で,「橋本早生」と比較して,葉身基部の角度が鋭いこと,葉柄比率が小さいこと等で,「宮本早生温州」と比較して,砂じょうの大きさが大きいこと,甘味が多いこと等で,「肥のあけぼの」と比較して,葉柄比率が小さいこと,花柱痕の大きさが小さいこと,果面の平滑度が粗いこと等で区別性が認められる。 |