この品種は,「関東107 号」に「アサカゼコムギ」を交配して育成された固定品種であり,育成地(福岡県筑後市)における成熟期はやや早,枯れ熟れ様障害に強く,赤さび病抵抗性がやや強い多収品種である。 叢性はやや直立,株の開閉は開である。稈長はやや短,稈の細太はやや太,剛柔はやや剛,ワックスの多少,葉色及び葉鞘のワックスの多少は中,葉身の下垂度はやや大,フレッケンの有無・多少は極少である。穂型は紡錘状,穂長,粒着の粗密及びワックスの多少は中,穂の抽出度はやや長,芒の有無と多少はやや多,芒長はやや長,ふの色は淡黄である。粒の形はやや円,大小及び千粒重はやや大,粒の色は赤褐,原麦粒の見かけの品質は中の上である。播性の程度はⅡ,出穂期及び成熟期はやや早,穂発芽性は難,脱粒性はやや易,耐倒伏性はやや強,収量性は多,粒の硬軟はやや軟である。粒質は粉状質,製粉歩留は中,ミリングスコアはやや高,60% 粉粗蛋白質含有率は中,粉の白さはやや低,明るさは中,色づきはやや高,吸水率は中,最高粘度は大,縮病抵抗性は強,赤かび病抵抗性は中,うどんこ病抵抗性はやや弱,赤さび病抵抗性はやや強である。 「アサカゼコムギ」と比較して,フレッケンの有無・多少が少ないこと,粉の白さが低いこと,最高粘度が大きいこと,赤さび病抵抗性が強いこと等で,「シロガネムギ」と比較して,粒の色が赤褐であること,粉の白さが低いこと,最高粘度が大きいこと,赤さび病抵抗性が強いこと等で区別性が認められる。 |