この品種は、「ピオーネ」の1樹変異であり、自然状態で無核中粒であるが、開花期及び満開後のジベレリン2回処理により20g以上の大粒となり、育成地(広島県豊田郡安芸津町)において8月中旬に成熟する黒色種である。樹の大きさ及び樹勢は中、枝梢は太である。どん梢先端の色は極薄赤、アントシアン着色は微で、「サンライトシードレス」、「ピオーネ」より淡い。葉の大きさは中、形は五角形、裂片数は5片である。葉柄裂刻は開き、上裂刻は深く重なり、葉の毛じは葉脈間、葉柄とも僅かにみられる。花房の大きさは中、穂梗は長い。花器は完全柱であるが、雄ずいは不完全で花粉は少ない。果房の形は有岐円筒で、大きさは中、果梗の太さは中、粒着の粗密は密である。果粒は自然状態で中(5~6g)であるが、開花期のジベレリン処理で12~13g、さらに満開後の再処理により20g以上の大粒となる。果粒の形は円、果皮は紫黒色で、着色の早晩び難易は中、果皮の厚さは中、果波と果肉の分離性は易である。果肉は不着色、肉質は中間で、果汁は多、甘味は高(糖度19~20度)、酸味、渋味は少なく、香気はフォクシー臭である。成熟期は自然状態で育成地において早(8月中旬)である。裂果はなく、脱粒性、果実の日持ちは中である。「サンライトシードレス」と比較して、どん梢先端のアントシアン着色が少なく、赤色が淡いこと等で、「ピオーネ」と比較して、無核であること、果粒が小さいこと等で、「高尾」と比較して、果房が小さいこと、肉質が異なること等で区別性が認められる。 |