この品種は、「ソメイヨシノ」の自然交雑実生株の中から選抜、育成されたものであり、花が一重の平開形の淡紫ピンク色の中輪花である。樹形は傘状、樹高は高木性、樹幹の色は紫褐、皮目は多、樹皮の裂け方は縦裂である。枝の太さは中、色は褐、分枝性は中である。葉の全体の形は楕円形、先端の形は鋭尖形、基部の形は鈍形、葉縁の鋸歯の状態は中、鋸歯の形は二重鋸歯、先端は鋭形、葉の長さは長、幅及び厚さは中である。密腺の有無は有、位置は葉身基部、たく葉の大きさは長である。花序の形は散形状である。つぼみの色は紫ピンク(JHSカラーチャート8903)、花の向きは横向き、形は一重咲き、開き方は平開形、大きさは中輪、花色は淡紫ピンク(同9501)である。花弁全体の形は長楕円形、切れ込みは少、表面のしわは少、長さは中、幅は狭、枚数は約5枚である。雌ずいと雄ずいとの長さの比較は同長、雄ずいの数は中、盤状形以外のがく筒の形は長鐘形である。花柄の長さは極短、太さは細、小花柄の毛の有無である。通常開花期は早で、育成地(神奈川県鎌倉市)における開花期は3月中旬である。「ソメイヨシノ」と比較して、樹幹の色が紫褐であること、葉の長さが長であること、密腺の位置が葉身基部であること、花序の形が散形状であること、蕾の色が紫ピンクであること、開き方が平開形であること、花色が淡紫ピンクであること、盤状形以外のがく筒の形が長鐘形であること、通常開花期が早であること等で、「オオカンザクラ」と比較して、花弁全体の形が長楕円形であること、雄ずいの数が中であること等で区別性が認められる。 |