この品種は,「巨峰」に「トムソン・シードレス」を交配して育成されたものであり,果皮の色が紫黒,果粒が円で中粒,ジベレリン処理により果粒肥大効果が見られる育成地(山梨県山梨市)では8月中旬に成熟する早生種である。樹の拡がりは大,樹勢は強である。熟梢の太さは太,色は黄褐,節間横断面の形は円,表面の形状は細溝あり,幼梢先端の色は薄赤,巻きひげの着生は2,若葉の下面葉脈間の綿毛の密度は中である。花穂の着生数は中,花性は両性,花粉の多少は中である。成葉葉身の形は五角形,裂片数は5片,葉身横断面の形は樋状,葉縁鋸歯の形は両側直線,葉柄裂刻の一般的な形は開く,成葉上裂刻の一般的な形は閉じる,成葉の大きさは大,上面の色は緑,葉柄の色は淡紅,成葉の下面葉脈間の綿毛の密度はかなり粗,下面主脈上の綿毛の密度は粗,葉柄の綿毛の密度は無~極粗,中肋に対する葉柄の長さの比は短,葉柄の太さは太である。穂梗の太さは太,色は淡緑である。果房の形は有岐円筒,大きさは大,長さ及び着粒の密度は中,果梗の太さは太,長さは中,色は黄緑である。果粒の形は円,大きさは中,果皮の色は青黒又は紫黒,果粉の多少は多,果皮の厚さは厚,果皮と果肉の分離性はやや難,果肉の色は不着色,肉質は中間,甘味は高,酸味は中,渋味は無~極少,香気はフォクシー,果汁の多少は多,種子の有無は無である。発芽期及び開花期は中,成熟期は早で育成地においては8月中旬である。果実の着色の難易は散光着色,花振いの多少は多,無核果粒の混入は極多,裂果の多少は無~極少,果梗の強さは中,果梗と果粒の分離は易である。「安芸シードレス」と比較して,若葉の下面葉脈間の綿毛の密度が粗いこと,花振いが多いこと等で,「巨峰」と比較して葉身横断面の形が樋状であること,着粒が密であること,種子が無いこと等で区別性が認められる。 |