この品種は,「杉山温州」の中から発見された変異樹であり,果形が扁球,果実の重さが中,果皮色が濃橙の育成地(広島県安芸郡倉橋町)では11月中下旬に成熟する温州みかんである。樹姿はやや直立,樹の大きさは中,樹勢は強である。枝梢の太さは太,節間長は長,とげの多少は少である。葉身の形は紡錘形,波状の程度は弱,大きさは小,葉身長及び葉身幅は中,網脈の鮮明度は明瞭である。翼葉の形は痕跡,葉柄の長さは短,太さは中である。花序の形成は単生,花(花蕾)の重さは重,花弁の形は紡錘形,長さ及び幅は中,色は白,数は5枚,花糸の分離の程度は一部合一,花粉の多少は少である。果実の形は扁球,果形指数は中,果頂部の形は平坦,放射条溝の有無は無,凹環の有無は不明瞭,果梗部の形は切平面,放射条溝の多少は少である。果心の充実度,大きさ及び果実の重さは中,果皮の色は濃橙,油胞の大きさ及び密度は中,凹凸は平,果面の粗滑はやや滑,果皮の厚さ及び果皮歩合は中,剥皮の難易は易である。じょうのう膜の硬さは軟,さじょうの形及び大きさは中,色は濃橙である。果汁の多少は中,甘味はやや高,酸味及び香気の多少は中,種子数は無,胚の数は多胚である。発芽期及び開花期は早,成熟期は中で育成地においては11月中下旬である。隔年結果性はやや高,浮き皮果の発生はかなり少,裂果の発生は無,貯蔵性は中である。「南柑20号」と比較して,葉が小さいこと,果心の充実度が密であること,浮皮果の発生が少ないこと等で,「杉山温州」と比較して,葉が小さいこと,果心が小さいこと等で区別性が認められる。 |