この品種は,「清見」に「ポンカンF-2432」を交配して育成されたものであり,果形が扁球,果重が190g程度,果皮色が橙色で,育成地(静岡県清水市)において1月下旬に成熟するかんきつである。樹姿はやや直立,樹の大きさ及び樹勢は中である。枝梢の太さは中,節間長は長,とげの多少は少である。葉身の形は紡錘形,波状の程度は弱,葉身の大きさ,葉身長及び葉身幅は中,網脈の鮮明度はやや明瞭である。翼葉の形は痕跡,葉柄の長さは中,太さは太である。花序の形成は単生,花(花蕾)の重さは軽,花弁の形は紡錘形,長さは短,幅は広,色は白,数は5枚,花糸の分離の程度は分離,花粉の多少は中である。果実の形は扁球,果形指数はやや大,果頂部の形は陥没,放射条溝の有無及び凹環の有無は無,果梗部の形はやや凹,放射条溝の多少は中である。果心の充実度は空,大きさは大,果実の重さはやや重,果皮の色は橙,油胞の大きさは小,密度は密,凸凹は平,果面の粗滑は滑,果皮の厚さ及び果皮歩合は中,剥皮の難易は易である。じょうのう膜の硬さは軟,さじょうの形は短,大きさは中,色は濃橙である。果汁の多少は中,甘味は高,酸味は中,香気の多少は中,種子数は少,胚の数は多胚である。発芽期及び開花期はやや晩,成熟期は早で,育成地において1月下旬である。隔年結果性は高,浮き皮果の発生は中,裂果の発生は無,その他の生理障害(す上がり)は少,貯蔵性は中である。「清見」と比較して,果頂部の形が陥没であること,果心の充実度が粗いこと,剥皮が容易なこと等で,「興春ポンカン」と比較して,果心の充実度が粗いこと,種子数が少ないこと等で区別性が認められる。 |