この品種は,「ソルダム」に「西田」を交配して得られた交雑実生から選抜,育成された品種で,果実の外観が円,果実の大きさが大,果皮が緑黄色,果肉が濃紅色の育成地(茨城県新治郡千代田町)において7月20日頃に成熟する中生種である。 樹姿は開張,樹勢は強である。枝梢の太さは太,節間長は長,成葉葉身の形は長倒卵,先端の形は漸鋭尖,基部の形は鋭,大きさは中,色は緑,葉柄の色は淡紅,蜜腺の形は球腎である。花形は一重,大きさは中,花弁の形は楕円,色は白,がく筒の形は鐘,がくの色は黄緑である。果実の外観は円,果頂部の形は平で,果頂部縫合線の反対側がやや突出する。果頂部の空洞は無,梗あの深さ及び広さは中,赤道部の縫合線の深さは浅,梗あ部の縫合線の深さはやや浅である。果実の大きさは大(90g程度),果皮の地色は緑黄,着色は紅紫,濃さは濃,形は全面,果粉の多少は多である。切った直後の果肉の色は濃紅,硬さは硬,果肉繊維の多少は少,果肉の粗密はやや密,果汁の多少は多,甘味はやや多,酸味は少,渋味は微,苦味は無である。核の形は短楕円,大きさはやや小,核と果肉の粘離は粘,色は淡黄褐,核面の粗滑は滑である。開花期は早,成熟期は中で,育成地においては7月20日頃である。生理落果の多少及び裂果は少である。 「サンタローザ」と比較して,葉柄の色が淡紅であること,がくの色が黄緑であること,果肉の色が濃紅であること等で,「ソルダム」と比較して,梗あの深さが浅いこと,着色の形が全面であること,酸味が少ないこと等で,「西田」と比較して,果実の外観が円であること,成熟期が早いこと等で区別性が認められる。 |