この品種は、「富有」の枝変りで、育成地(岐阜県本巣郡巣南町)において10月下旬に成熟する大果の完全甘柿である。樹姿は開張、樹の大きさは中、樹勢はやや強である。枝梢の太さはかなり太、節間長はかなり長、葉の大きさはやや大、葉身の着生角度は横向きである。雄花、完全花はともにない。果実の全形は扁円(果形指数150)で「富有」、「いさはや」より扁平である。果実の横断面は円、果実の大きさは極大(1果平均330g)、果皮の色は橙朱で光沢は良である。果実の側溝、果実の条紋及び果実の座は無である。がく片はやや幅広で大きく、先端の形は太尖である。果肉の色は橙、果肉の褐斑の大きさは小、密度は疎である。果肉の粗密は密、甘味は中(糖度15~16度)、渋味は無である。子室数は8、種子数は2~3個、種子の全形は方円、大きさは極大である。結果期の遅速は早、生理落果の多少は少である。成熟期は中、育成地において10月下旬で、「富有」より約10日早く、「松本早生富有」よりやや遅い。果頂裂果性は無、蒂隙性はやや小である。「富有」と比較して、花芽の着生が多いこと、果実が大きいこと、成熟期が早いこと等で、「松本早生富有」と比較して、花芽の着生が多いこと、果実が大きいこと、成熟期が遅いこと等で、「いさはや」と比較して、がく片の形が異なること、果実が小さいこと、果形が扁平であること、甘味が多いこと等で、「上西早生」と比較して、果実が大きいこと、成熟期が遅いこと等で区別性が認められる。 |