この品種は、「新潟糯31号」(後の「わたぼうし」)に「中部糯80号」を交配して育成された固定品種であり、育成地(岩手県江刺市)における成熟期は中生の晩、ふ先色が褐、精玄米千粒重が大の水稲、糯種である。草型は偏穂重、稈長はやや長、稈の細太及び剛柔は中、止葉の直立の程度はやや立である。穂長はやや短、穂数はやや少、粒着密度は中、穂型は紡垂状、ふ先色は褐、芒の有無と多少は稀、芒長は極短、芒色は褐である。玄米の形はやや細長、大小はやや大、精玄米千粒重は大、玄米の見かけの品質は上の下、光沢はやや良、食味は上の下である。水稲・陸稲の別は水稲、粳・糯の別は糯、出穂期及び成熟期は中生の晩、障害型耐冷性はやや強、穂発芽性はやや易、耐倒伏性はやや強、脱粒性は難、収量は中である。いもち病抵抗性推定遺伝子型はPi-a,k、穂いもちほ場抵抗性は強、葉いもちほ場抵抗性はやや強である。「ヒメノモチ」と比較して、ふ先色が褐であること、精玄米千粒重が大きいこと、いもち病抵抗性推定遺伝子型がPi-a,kであること等で、「こがねもち」と比較して、稈長が短いこと、精玄米千粒重が大きいこと、出穂期が早いこと等で区別性が認められる。 |