この品種は、「藤稔」に「ピオーネ」を交配して育成されたもので、果皮の色が紫黒、果粒が短楕円で極大粒の育成地(熊本県宇土郡不知火町)では7月下旬に成熟するかなり早生の品種である。樹の広がりは大、樹勢は中である。熟梢の太さは太、色は暗褐、節間横断面の形は楕円、表面の形状は細溝あり、幼梢先端の色は薄赤、巻きひげの着生は2である。花穂の着生数は中、花性は両性、花粉の多少は中である。成葉葉身の形は五角形、裂片数は5片、葉身横断面の形は波打ち、葉縁鋸歯の形は両側直線、葉柄裂刻の一般的な形は開く、成葉上裂刻の一般的な形は重なる、成葉の大きさは大、上面の色は暗緑、葉柄の色は淡紅、成葉の下面葉脈間の綿毛の密度は無~極粗、下面主脈上の綿毛の密度は粗、葉柄の綿毛の密度は無~極粗、中肋に対する葉柄の長さの比は短、葉柄の太さは中である。穂梗の太さは太、長さは長、色は淡緑である。果房の形は有岐円錐、大きさは極大、長さは長、着粒の粗密は粗、果梗の太さは太、長さは中、色は黄緑である。果粒の形は短楕円、大きさは極大、果皮の色は青黒又は紫黒、果粉の多少は多、果皮の厚さは厚、果皮と果肉の分離性は中、果肉の色は不着色、肉質は中間、甘味は中、酸味は少、渋味は無~極少、香気は無、果汁の多少は多、種子の数は少、形は中、大きさは大である。発芽期及び開花期は中、成熟期はかなり早で育成地においては7月下旬である。果実の着色の難易は中間、花振いの多少はやや多、無核果粒の混入は多、裂果の多少は少、果梗の強さは強、果梗と果粒の分離は易である。「巨峰」及び「ピオーネ」と比較して、果粒の形が短楕円であること、香気が無いこと等で区別性が認められる。 |