本品種は、かんきつ類の中でゆず近縁の新種で既存のゆず近縁種と明確に区別される形質のうち、特に著しい特性をもつ形質は、①果形、②果面の粗滑、③果汁の多少、④香気、⑤成熟期、⑥貯蔵性であり、その特性は次の通りである。(1)果形は円または扁円形でゆずにやや似ているが、果梗部にやや深い放射条溝が数条走り、その間に多数の浅い放射条溝があり、花柱根の周囲はやや窪み、ここにも浅い放射条溝が数本みられる。(2)果面は黄色で油胞が窪み凹凸が激しく、果皮はやや革質で粗剛である。(3)果汁はきわめて多く、賢臓形のじょうのうは柔らかく、搾汁は容易である。(4)香気はわずかにゆず香のある弱い九年母臭で、ゆず類、すだち、きず、かぼす等と異なる。(5)成熟期は11月下旬で、11月~1月の間に収穫できる。(6)貯蔵性は極めて高く、簡単な貯蔵で11月頃から翌年4~5月頃まで貯蔵しても果汁の減少は極めて少なく、風味も減退しない。(7)その他、樹は喬木性で樹高は3m内外、枝条はやや密生し、樹姿は長円形、耐寒力はゆずに次いで強い。枝条は稜角があり節間やや短く無刺無毛、花は樹冠内部の短花枝に着き単生、まれに長さ7mm程度の大花梗に小数房咲することがある。 |